<前編のあらすじ>
シングルマザーとして娘の真莉愛を1人で育てながら働く綾香。誰かを頼ることもせず、毎日ノルマに追われながら閉園ギリギリまで働き続けている。
帰宅後も家事と育児をこなし、真莉愛が寝た後も自分を奮い立たせて、深夜まで働く日々だった。
ギリギリの生活を続けた結果、ついに綾香は体調を崩してしまうも、間近に迫ったプレゼンのため休むことができない。朝の準備中に話しかけてきた真莉愛を焦りから強い口調で娘を拒絶してしまった。
●前編【「ママの言うことを聞いて…!」残業続きの仕事と家事に追われる日々で限界を迎えたシングルマザーの苛立ち】
体調不良をおしてプレゼンへ
出社前に病院へ向かい、点滴を打ったこともあって、綾香は仕事を順調に終えてその日を乗り切った。プレゼンもクライアントにはかなり高評価を得ることができた。
いつものように閉園時間ギリギリで真莉愛を迎えに行くと、真莉愛が保育士と一緒にやってくる。真莉愛は少しだけ暗い顔をしているように見えた。
今朝怒ってしまったのが原因かもしれないと思った。
「ほら、真莉愛ちゃん」
保育士に促されて真莉愛は1歩前に出る。
「真莉愛、おいで」
しかし真莉愛は下を向いたまま動こうとはしなかった。戸惑う綾香に保育士は笑いかけてくる。
「ほら、真莉愛ちゃん。先生とお約束したでしょ?」
真莉愛はしぶしぶ頷き、2つに折った紙をこちらに渡してきた。いつものように絵を描いてくれたのだと思った綾香は中を見て固まった。
