大人になりきれない夫
1回目の調停は、小倉さんは産後2週間で動けなかったため、弁護士に代理を依頼。
夫は「金銭的な苦労はかけない」と手紙に書いていたにも関わらず、婚姻費用と養育費を基準額より10万円も低い金額で提示してきた。さらに離婚調停では、不貞行為に関して「1回限りだった」とうそをついたと言う。
「相手女性が一定期間の不倫を認めた合意書があるので、どう考えても1回は無理がありますし、そもそも回数の問題ではありません。その後、次の調停を前に一部生活費が振り込まれたところを見ると、夫は『不貞行為』を働いた有責配偶者ではあり、そこに生活費を払わないという『悪意の遺棄』が積み重なると、さらに裁判で不利になるということは分かっているみたいです」
まだ離婚が確定していない現在、夫が小倉さん妻子に払うべきお金は、
・離婚しない場合 → 妻と子の生活保障(婚姻費用)
・離婚する場合 → 子の生活保障(養育費)のみ
となり、小倉さんの場合、この2つで10万円ほど差が出るという。
「さらに離婚原因を作った有責配偶者からは、原則として離婚請求できません。夫が離婚したければ『相手に有利な条件を出して、離婚を認めてもらえるよう交渉する』しかないでしょう。だから弁護士さんから『離婚は急がなくていい』と言われました」
小倉さんは離婚不受理届も出しているため、夫が勝手に離婚届を提出することもできない。ただ、10年以上別居すれば、有責配偶者から離婚請求できる場合もある。しかしそれは、小さい子どもがいない場合が原則だ。
「次男はまだ生まれたばかり。10年たってもまだ10歳では、夫から離婚請求されても認められない可能性が高いです。なので夫は、妻子の生活費+家のローン+夫自身の生活費の“三重苦”が確定しています。私が離婚を突っぱねる限り、最低でも10年は極貧生活が続くわけです」
ただ「不倫がバレて、肩身が狭いし自由が利かないから」という理由で家を飛び出した夫……。
夫の言動からは、大人になりきれていない身勝手さがあふれでている。両親から甘やかされて育ち、毒母育ちの小倉さんが夫のワガママを受け入れ続けてしまったために、夫は40歳手前まで自分の幼さに気づかずに来てしまったのだろう。
「もう、そんな勝手は許しません。私はまず母子の心身と生活基盤を整えて、それから離婚条件についてゆっくり考えたいと思います」