臨月の妻をおいて夜逃げ

夫の不倫が発覚した2カ月後、なんと小倉さんの2人目の妊娠が判明。

渋々夫に伝えると、「もういらないから、堕ろしたいなら堕ろしていいよ」と関心がなさそうに言われ、離婚と中絶を迫られる。

しかし3週間後、世間体と自分が抱える罪悪感を考えたのか「やっぱり中絶はやめよう」と手のひらを返した。しかし夫婦仲は険悪なままだったため、小倉さんは今後のことを話し合おうとする。しかし夫は都合が悪くなると黙りこみ、何を言っても「離婚だ離婚だ」と話にならなかった。

不倫発覚から9カ月ほどたったある晩、パートから帰宅した小倉さんは違和感に気づいた。夫婦で共有していたスケジュールアプリから夫が退会していたうえ、家にあった夫の生活必需品がなくなっている。

職場に問い合わせても根回しされており、子どもを抱えて途方に暮れていると、普段使っていない机の上に置き手紙があるのに気がついた。手紙には以下のことが書かれており、小倉さんは絶句。

・君は僕の母の悪口を言った
・君とは話し合いができないから、出ていくしかなかった
・職場に来たら警察を呼ぶ

話し合いに関しては既出の通り、拒否していたのは夫の方だった。義両親との関係は、夫の不倫までは良好。だが不倫した夫を義両親がかばったことで関係が悪化。職場に来たら警察……は民事不介入に反する。

しかも夫はありったけの現金やカード類と車を持って、夜逃げしたのだった。

「すべてがうそと被害妄想まみれ、かつ幼稚すぎてクラクラしました。取りあえず弁護士を予約したものの、お金や子どものことで不安になり、長男が寝た後に夜通し泣き続けましたが、翌朝、泣いてる場合じゃない! 出産は待ってくれない! と思い、動き出しました」

役所の子ども相談窓口に電話し、夫が全財産を持って夜逃げしたこと、そして自分は臨月を迎えていること、母親が毒母なので頼れないことを相談。すると職員は、すぐに自宅まで来て話を聞き、出産時の入院期間中と出産後は、児童相談所の緊急保護を利用できることとなった。