<前編のあらすじ>

中国四国地方在住の小倉さん(30代・既婚)は、19歳のときに1歳先輩の男性と大学のサークルで出会い、3年後に交際に発展。ところがその約2年後、いざ結婚しようという段になった小倉さんが彼の貯金額を聞き出すとわずか20万円だった。

「年収800万円、手取りでも500万円はあったはずでした。それなのに車のローンと奨学金の返済でマイナスに陥っていることにがくぜんとしました」

彼のおおらかさに惹かれていたものの、金銭管理や金銭感覚のズレに不安を抱いた小倉さんは、結婚後の家計管理は自分が務め、お小遣い制とすることで彼と合意した。

●前編:【金銭感覚のズレに妻あ然…お小遣い制をくぐり抜け“飲み会通い”を続けた夫の「まさかの方法」】

不妊治療とマイホーム

コロナ禍に突入し、夫の飲み会通いは収まったかのように見えた。

夫の給料が上がり始め、収入も安定。子煩悩な夫に対して不満に思うことも少なくなり、「そろそろマイホームや2人目を考えるか?」という話も出ていた。

「私は最初、不妊治療に積極的ではありませんでした。1人目の妊娠で、手術入院までしましたからね。でも子ども好きの夫は、どうしても2人目が欲しかったようです。必死に説得され、私も覚悟を決めて治療に臨みました」

体への負担を覚悟した小倉さんは、パートへ転職。そのとき夫は、「専業主婦になればいいじゃん」と言っていた。しかし夫の過去の行動を思い出し、念のために仕事は続けることに。

……にも関わらず、夫は「俺は問題ないはずだから大丈夫!」と言って自分は治療に消極的。タイミング法や排卵誘発剤で妊娠に至らず、卵管鏡下卵管形成術に挑戦した小倉さんは1人、泣きながら吐くほどの痛みに襲われた。

一方、「もうすぐ3歳になる長男が、小学校に上がるまでに見つかればいいな」と思いながら土地探しを始めたところ、条件に合う土地が見つかり、トントン拍子にマイホームの話が決まる。

「当然のことですが、不妊治療もマイホームも、かなり高額な出費になります。特に家に関しては『高級感が欲しい!』と夫が打ち合わせの度に騒ぐのですが、夫の希望と予算との折り合いをつけるのは私の仕事。新たに家のローンを組むため、残っていた車のローンを早く終わらせるため、毎月多めに払うことになりました」

この頃の小倉家の大きな出費は以下になる。

・高級車のローン
・長男の保育料
・高額な不妊治療
・マイホームの頭金

相変わらず飲み会好きな夫には、どんなに家計簿を見せて説明しても、「俺はもっと稼いでる!」と言って譲らない。

この頃の小倉さんは、「もうすぐ給料が上がる」と言い張る夫を信じ、「家さえ建てば、家賃が要らなくなる」と思うことで自分を支えていた。また、3歳からの幼保無償化や不妊治療の終了も考慮しており、負担が減るめどもある程度はつけていた。