実際の加入期間23年でも25年相当で計算される仕組み

遺族厚生年金は亡くなった人の厚生年金被保険者期間などから計算され、亡くなった人が受給していた、あるいは将来受給できるはずだった老齢厚生年金(報酬比例部分)の4分の3相当額となるのが原則です。しかし、前述の①②③の場合で、亡くなった人の厚生年金被保険者期間が300月(25年)未満の場合、その実期間ではなく300月にみなしたうえで計算されます。

③に該当する慎一さんは24歳~47歳まで23年程度会社に在籍し、厚生年金に加入していましたが、23年ではなく、25年相当で雅美さんの遺族厚生年金が計算されます。そのこともあって、雅美さんの遺族厚生年金は年間80万円となりました。さらに、雅美さんは40歳以上65歳未満の妻であるため、中高齢寡婦加算として年間62万円も加算されます。そのため、合計で年間142万円が支給されることになりました。慎一さんが退職後に国民年金保険料を払っていなくてもこの金額については影響ありません。

これを聞いて雅美さんは「仕事での給与と遺族年金をあわせた収入があれば十分生活できるし、ちょっとずつ将来への貯蓄もできそう」と思うようになりました。なお、65歳以降は中高齢寡婦加算がなくなり、雅美さん自身の老齢基礎年金・老齢厚生年金と、差額支給の遺族厚生年金(80万円から雅美さんの老齢厚生年金に相当する額を差し引いた額)の合計で受給することになります。

会社員だった人が亡くなり、遺族厚生年金が遺族に支給されるためには、亡くなった人の要件があります。保険という仕組みである以上、加入期間や保険料の納付状況で支給が判定されますが、保険料を納めていなかった期間があったとしても、それだけで受給ができなくなったり、受給額が減ったりするとは限りません。いざという時にある程度の額の遺族年金が支給されれば、その後の生活も安心できるものとなるでしょう。

※プライバシー保護のため、事例内容に一部変更を加えています。