自己肯定感が下がる中で唯一頼れた叔母の存在
「自分は価値のない人間なのかもしれない」
すっかり自信が持てなくなってしまった香菜さん。友人を作れず、いつも孤独を抱えていました。
ですがそんな香菜さんにも一人だけ頼れる人がいました。それは母親の妹である叔母。叔母とは年に数回会う程度でしたが、香菜さんのことをとてもかわいがってくれました。
時は流れ、香菜さんが大学生になった頃。相変わらず母親は口うるさく言ってきます。母親との関係に悩んでいた香菜さんは、叔母に電話で相談することがありました。
「それは大変ねぇ……。大学を卒業したら思い切って実家を出てみるのもいいんじゃない? 距離を置くようになれば、あなたのお母さんも少しは落ち着くかもしれないし」
叔母からそのようなアドバイスを受けました。
そうこうしているうちに、香菜さんも社会に出て働く時が迫ってきました。
「困っている人の役に立ちたい。医療には関心があるけれど、医師や看護師のような資格職は難しいかもしれない」
そう思った香菜さんは医療事務の仕事をすることに決めました。香菜さんは就職が決まったあと、叔母のアドバイス通り母親から逃げるように実家から出ました。
「これからの人生は私のものだ。誰にも文句を言わせない」
そう決意した香菜さんですが、理想とは裏腹に現実は厳しいものでした。
