<前編のまとめ>

自動車整備工場を経営し、年間6000万円を売り上げていた柳田正一さん(72歳・仮名)は、60歳で事業を若手に譲渡。会社売却で1億円を手にします。

息子夫婦との二世帯住宅を新築したり、妻とともに海外旅行を楽しんだり、悠々自適な暮らしを生涯送れるはずでした。

ところが、息子の正則さん(43歳)が妻と離婚し、仕事も休み、無職のまま家にこもるように。やがて家庭内で暴力を振るうようになり、平穏な老後の計画は思わぬ形で崩れていきます。

●前編:「さすがにもう身体がもたん…」会社売却で悠々自適な生活が待っているはずが…老後を狂わせた氷河期世代の“中年ニート息子” 

県外に逃げるように引っ越し

「父と母のせいで……」

そう思うようになった正則さんは、柳田さん夫妻にも暴力を振るうようになり、しばしば警察の厄介にもなることに……。

そんな状態が2年続いたとき、家庭内暴力に耐えられなくなった柳田さん夫婦は、家を手放し、家を出ることになったのでした。

正則さんの暴力に怯え、着の身着のまま逃げ出してきた柳田さん夫婦は、弁護士に依頼し正則さんに家と預金を渡すことを条件に、自分たちとはもう関わらないでほしいと伝え、県外へと逃げるように引っ越しました。

手元に残されたのは2000万円程度、年金も二人合わせて24万円受け取ることもでき、一般的な生活を送るには困らない資産と年金を受け取っているはずの柳田さんでしたが、これまでの生活習慣がしみつきなかなか支出をコントロールすることができず、不安な生活を送ることになってしまったのでした。