変化に対応できる生活水準と資金計画を
今回のケース、息子の正則さんの暴力は想定外で予見することは難しいことです。この状況になれば家を捨てて逃げるという選択肢は正しかったでしょう。
しかし、敢えて問題点を挙げるとすれば、正則さんとの同居を前提にした二世帯住宅を建てたことです。
育ってきた環境も価値観も違う家庭の中に他人である正則さんの妻が入り、一緒に暮らすのはストレスのかかることで、柳田さん夫婦がその辺りを理解し配慮していないとストレスが溜まり離婚に至ることも多いものです。離婚に至るまでに別居するなどの選択肢を取ることもできたでしょうから、自分の離婚を両親のせいにして暴力を振るうのは幼稚と言わざるを得ませんが、同居を選ぶ場合であれば、特に柳田さんご夫婦が正則さんの妻に対して気を遣うことが大事です。
そして、もしも二世帯住宅にするとしたら、建物を完全に分離し、生活を完全に分けることでお互いの生活を守ることにもつながりますし、今後相続が発生した場合等のトラブルを予防することにも役立ちます。
また、資金的に余裕があっても正則さん名義で住宅ローンを組み、親のお金をわざわざ使う必要もなかったでしょう。
生活を完全に分離し、子供夫婦の住居費は自分たちで払わせるようにし、困ったときに親が援助してあげる程度で考えておけば少なくとも今回の離婚に至る要因を減らし、自分達の生活資金も守ることができたでしょう。
また、お金にゆとりがあれば使っていただくことは良いことですが、「当たり前」の水準を上げてしまうとなかなかその習慣を変えることは難しいものです。いざとなればすぐに水準を下げられるように、必要な支出と必要性の低い支出をしっかり分け、当たり前の水準を下げておくことも変化に強い家計をつくるために大事なことです。