高尾香菜さん(仮名・27歳)は、職場でのストレスによりうつ病を発症。休職してもうつ病が軽快することはなく、職場復帰の目途はたちませんでした。そこで障害年金の請求を検討することにしたそうです。

香菜さんは外出が難しいため、代わりに香菜さんの叔母(63歳)が筆者のもとに訪れました。香菜さんの両親は健在ですが、相談に来ることは難しいとのこと。

一体、香菜さんに何があったのでしょうか?

宿題中も監視を続ける過干渉な母親

香菜さんは一人っ子ということもあり、小さい頃から母親の期待を一身に背負わされていたそうです。勉強に塾に習い事。すべてを要領よくこなすことを求められていました。

しかし香菜さんは器用ではなく、てきぱきと行動できません。そんな香菜さんに対し、母親はいつもいら立った様子を見せました。

香菜さんが小学生の時、宿題をする際にはいつも母親が横に付いていました。

(この問題はどうやって解くのだろう?)

香菜さんが考え込んで手を止めると、すかさず母親のとがった声が飛んできました。

「なんでこんな問題も分からないの? こんなんじゃ大人になっても社会で通用しないわよ。もっと頑張りなさい」

時には香菜さんを叩くこともあったそうです。その度に香菜さんは暗い気持ちになるのでした。

父親は仕事で忙しく、育児は母親に任せきり。香菜さんにあまり興味関心を示さず、じっくり会話をすることはほとんどしませんでした。そのような父親の態度にも香菜さんは心を痛めていました。