投資は長期で向き合うことが大切
「NISAでの資産形成は余剰資金の範囲で地道に行うのが基本です」
私は2人に対して強く説明していく。
近年が異常なだけで一般的には年間で3%から5%利益を得られれば御の字である。場合によっては5年、10年、20年と分散して少額ずつに分けて投資しながら、複利の効果で資産形成を図り、リスクを極限まで下げるべきなのだ。
そしてこれまでの歴史を振り返る限り、株価は必ず回復してきた。今この瞬間株価が落ちてしまっても慌てない。長期的な目線で見て最終的にプラスになればいい。そう考えると、局所的に大暴落が起こってもいずれプラスに転ずるのを待つことができる。
私は一通り上記のような老後における“投資の鉄則”を説明したうえで、投資をやめる必要まではないことを伝えた。
「今後は熱くならないよう、梨花さんと協力して将来に備えた投資を続けてみてください」
私は最後にそう締めくくった。投資は何歳から始め、何歳まで続けてもいいからだ。
今現在、平三さんはシルバー人材として働きながら月1万円をNISA口座に入れて投資を楽しんでいる。
私は高齢者諸兄にはもちろん、親や祖父母が高齢である諸兄にも警鐘を鳴らしたい。NISAが非課税であるからといって、そこに老後資金をつぎ込んではいけない。NISAは長期分散投資が基本だ。10年、20年と遠い未来にプラスを実現するための投資であり、日々の株価の上下に一喜一憂して売却することなどもってのほかだ。
梨花さんは「投資経験の浅い人でもNISAを使えば安心、これは罠だと思います」と語っている。私もその通りだと感じる。
くれぐれも資産形成で老後資金を溶かすことにならないよう、梨花さんや平三さんのように、将来を豊かにするための投資で悲しみを背負ってしまわないよう、正しい姿勢でNISA制度と向き合っていただきたい。
※プライバシー保護のため、事例内容に一部変更を加えています。