父、豹変
2人の離婚がなくなり一美は安心して自宅へと戻った2日後、富子から連絡が来る。
電話口で富子はおかしそうに笑っていた。
「ねえ聞いてよ。あれからあの人、変になってて」
「変? どういうこと」
「いきなり朝食を作ってみたり、家の掃除をしだしたりとか家事をするようになったのよ」
「ええっ⁉ うそぉ⁉」
一美は辰雄が台所に立って包丁を持ってる姿を見てふきだした。
「ホントよ。もう分かりやすくて笑い堪えるの大変なんだから」
「笑ったらダメよ。お父さんなりに考えてやってることなんだから」
そんなことを言いつつ、一美は笑ってしまう。
しかし富子と別れたくないという気持ちをこうやって辰雄がしっかりと行動で示しているということがどこか嬉しくほっこりした。
初めて一美はこんな夫婦になるのも悪くないのかもと思った。
※複数の事例から着想を得たフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。