このままだと老後破綻は確実。ファイナンシャルプランナーとして多くの家計相談を受けていると、そのような家庭に出会うことがあります。今回は、58歳で初めて結婚した正敏さんが、幸せな新婚生活を送るはずだったにもかかわらず、老後破綻の道を歩み始めた例を通じて、どのような家庭が老後破綻に陥りやすいのか、そして、どう立て直せば安心して老後を迎えられるのか、お伝えします。さらに、誰でも気軽にできる家計改善アイデアも紹介します。

質素に暮らしてきた正敏さんが貯蓄ゼロの理由

正敏さんは結婚するまで母親と2人暮らしでした。母親の年金は月5万円、正敏さんの年収は480万円(月手取り約25万円)、持ち家で質素な生活を送っていたため、本来なら貯蓄ができる収入はあります。

しかし、正敏さんの貯蓄はゼロです。なぜなら母親が10年前に買い物依存で500万円の借金を作ってしまった上、その後も買い物依存がたびたび発生し、ようやく落ち着いたと思ったら、今度は母親の介護費や医療費がかかるようになり、貯金することができなかったからです。10年かけて借金を返済し、ようやく新しい生活を始めようとした矢先に母親が他界しました。