絶望の淵から実家へ…抑うつ状態と向き合う日々
常にストレスにさらされるようになってしまったためか。35歳を過ぎた頃、舞さんはとうとう限界を迎えてしまいました。朝、体が動かず布団から起き上がることができなくなってしまったのです。
会社に行くことが出来なくなった舞さんは、有給休暇を使って休んでいました。しかし頭も体も鉛のように重く、一向に回復の兆しが見えません。頼りになるはずの夫は「仕事を休むわけにもいかないし……」と言って、舞さんのケアをほとんどしてくれません。
絶望の淵に突き落とされた舞さん。気力を振り絞り、実家にいる母親に電話をしました。
「もう限界……。実家に帰ってゆっくり休みたい」
舞さんの弱々しい声を聞いた母親は、実家に連れ戻すために舞さんの住んでいる家を訪れました。すると母親は娘のあまりの変わりように絶句してしまいました。
舞さんの髪はぼさぼさで肌は荒れ放題。目からは生気が感じられず、その眼差しは虚ろで母親を捉えているのかどうかも定かではありません。
「これはただ事ではない。すぐに病院に連れていかなければ」
舞さんの母親はそう思いました。
舞さんを実家に連れ戻した母親は、すぐに病院を探し、舞さんを実家の近所にある心療内科を受診させました。
医師からは「どうやら抑うつ状態にあるようですね。当分の間はご実家でゆっくり休んでください」と言われました。
その後、舞さんは有給休暇をすべて使いきっても復職ができなかったので、傷病手当金を受給することになりました。
なお、傷病手当金とは、病気やけがのために会社を休み十分な報酬が受けられない場合に、所定の手続きをすることによって健康保険から支給されるお金のことをいいます。傷病手当金の支給期間は、支給を開始した日から通算して1年6カ月です。
舞さんは傷病手当金を受給している間も会社に籍を置いたままにしていました。
しかし「いつかは復帰しなければならない」というプレシャーが舞さんを苦しめていたため、医師と相談した結果、会社は退職することになりました。
再就職の目処がたっていない舞さんにとってお金の不安は尽きることがありません。
退職後も引き続き受給していた傷病手当金はもうすぐ終了してしまいます。
「まずは長女のお金の不安を解決したいと思っているのです」
母親は筆者にそう言いました。
●無収入となり再就職の目途も立たない舞さん。お金の悩みは解決できたのでしょうか? 後編【「働きたいのに涙が出てくる」30代女性が職場と夫へのストレスで抑うつ状態に…その後無収入状態を脱出できたワケ】 で詳説します。
※プライバシー保護のため、内容を一部脚色しています。