再婚する2人、年金はどうなる?
そんな典子さんと孝夫さんはそれぞれ犬を飼っていましたが、2年前に犬の散歩中に公園で出会いました。よく顔を合わせるようになり、お互い配偶者を亡くしていることをきっかけに会話する機会も増えました。やがて、典子さんと孝夫さんは今から半年前に再婚することになりました。典子さんと孝夫さんのそれぞれの子たちも、再婚について反対もなく、祝福の声で迎えます。
ここで典子さんの場合、孝夫さんと再婚すると、敦さんが亡くなったことを機に受け取っていた遺族厚生年金は受け取れなくなります。遺族厚生年金15万円分が少なくなり、合計200万円となりますが、特にそのことを気にすることもありませんでした。むしろ、孝夫さんの年金73万円と合計すれば273万円になることが確認でき、また、孝夫さんの事業収入もあって生活はできるだろうということから、そのまま再婚することになりました。
またしても妻に先立たれる
ところが、再婚して数カ月後、典子さんが急病で亡くなってしまいました。「新しい生活が始まったばかりだというのに、2度も妻に先立たれるなんてな……」と孝夫さんは落ち込みます。孝夫さんは純子さんが他界した時のことを思い出し、典子さんが亡くなったことで年金の手続きが必要と考え、年金事務所に行きます。
すると職員から「遺族年金を請求できますので、手続きを進めてください」と、前妻・純子さんが亡くなった時には言われなかったことを言われます。職員によると、「孝夫さんの場合、遺族厚生年金として年間87万円ほど支給されます」とのことでした。
孝夫さんは「本当にそんなに受け取れるのか。そもそもなぜそんなもの受け取れるのか」「遺族年金を受け取っている人って女性ばかりとも聞いていたし。男も受け取れるのか」という疑問が生じました。
孝夫さんに遺族年金が支給される条件や支給額の根拠はどのようになっているのでしょうか。
●夫が遺族年金をもらえるパターンについては、後編【「自分が遺族年金を受け取るなんて考えたこともなかった」70代男性が引退後の“生活の保障”を得られたワケ】で詳説します。
※プライバシー保護のため、内容を一部脚色しています。