<前編のあらすじ>

78歳の典子さん(仮名、以下同)は12年前に夫・敦さんを亡くして以降、老齢基礎年金と老齢厚生年金とあわせて遺族厚生年金を受給していました。一方、自営業で74歳の孝夫さんは妻の純子さんを亡くしています。65歳以降は老齢基礎年金と老齢厚生年金に加え、年金以外の収入や貯蓄があり不自由なく暮らしていました。

2人は共通の話題を通じて交流を深めたのち、再婚を決意。ところが、再婚して数カ月後に典子さんが急病で亡くなってしまいます。孝夫さんは落ち込みつつも、年金の手続きのため、年金事務所に行きます。そこで職員から驚きの説明を聞くことになりました。

●前編:【まさか男性の自分が遺族年金をもらえるなんて…! 74歳で再婚、妻に先立たれた夫が知らされた「想定外の事実」】

妻を亡くした夫への遺族厚生年金

遺族厚生年金は、厚生年金に加入したことがある人が死亡した場合に、生計を維持されていた一定の遺族に支給されることになっています。その遺族には配偶者も含まれ、典子さんはかつて敦さんを亡くしたことで受給していました。遺族厚生年金を受給していた人が再婚すると、その受給する権利はなくなりますので、孝夫さんと再婚したことによって受け取れなくなっています。

すると、再婚後、今度は典子さんが亡くなりました。厚生年金に加入していた妻が死亡した場合、夫も遺族厚生年金の対象遺族となります。ただし、夫の場合は妻の場合と違い、年齢要件があります。その妻の死亡当時、夫は55歳以上であることが条件で、かつ実際の支給は原則60歳以上となっています。孝夫さんは典子さんの死亡当時74歳。55歳以上の夫であり、年収850万円未満で典子さんと同居していたことから生計維持ありとなります。そのため、死亡当時の夫である孝夫さんは遺族厚生年金の対象になります。