厚生年金加入期間の長い人が死亡した場合

典子さんは厚生年金に長く加入していました。そのため、典子さん自身の老齢厚生年金も多く125万円ありました。老齢厚生年金のうちの報酬比例部分が120万円だったため、その報酬比例部分の4分の3にあたる90万円を基準に遺族厚生年金が計算されることになります。

ただし、孝夫さんの老齢厚生年金3万円は差し引いて支給されることになりますので、実際の遺族厚生年金は87万円となります。今後、孝夫さんは老齢基礎年金70万円、老齢厚生年金3万円に加え、遺族厚生年金87万円の合計160万円で支給されることになります。孝夫さんは厚生年金加入期間が短く、老齢厚生年金が少なかったことから、遺族厚生年金として87万円も受け取れることになったのです。

仕事を引退しても安心できる

「そんなに受け取れるとは、知らなかったなぁ」「亡くなるのは自分が先か、典子が先か分からなかったけど、典子が先に他界して自分が遺族年金を受け取るなんて考えたこともなかった」「まだ仕事は続けるつもりだけど、引退して年金収入だけの生活になった時に遺族年金まであるのはありがたいことだ」と思いながら、孝夫さんは遺族年金の受給を始めるのでした。

このように夫婦の年金加入記録やその他の条件次第で、男性でも遺族年金を受け取れるケースがあります。目下、見直しも議論されている遺族年金制度ですが、支給されるとその後の生活の保障にもなります。条件を満たせば支給され、条件を満たさなくなると支給されなくなります。制度について気になる場合は一度確認してみてはいかがでしょうか。

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