<前編のあらすじ>
25年前に離婚し、一人暮らしをする早織さん(仮名・62歳)は、58歳で会社が倒産し職を失いました。その後仕事が見つからず貯蓄を取り崩す生活が続く中、60歳6カ月で年金の繰上げ受給を決断します。
その後、60歳9カ月でフルタイムの仕事に就き厚生年金に加入しますが、11カ月で退職することに。「我慢して11カ月分の厚生年金の保険料払ったんだから、退職を機にちょっとは年金が増えそう」と期待していた早織さんでしたが、いくら待っても年金額は変わりません。年金事務所で相談すると、「年金が増えるのは63歳になるまで待ってください」と告げられます。
●前編:【繰上げ受給後に再就職して厚生年金加入「掛けた分が全然増えません」62歳女性の困惑】
63歳で増える年金
職員は早織さんに63歳時点での見込額を提示します。63歳時点での額は今までの額より増えることになります。「特老厚が始まる63歳より前に繰上げをし、繰上げ開始後に厚生年金に加入して保険料を掛けると、63歳になるまでは退職してもその時点で年金は再計算で増えません。63歳になって初めて増えることになるのです」と説明します。早織さんがもし繰上げをしていなかった場合、本来、特老厚が支給されるのが63歳。63歳前に繰上げをしている場合については、この特老厚の開始年齢・63歳を迎える時点で再計算が行われる仕組みです。11カ月分の厚生年金加入期間分の老齢厚生年金は63歳になって初めて増えるとのことでした。
言い換えると、63歳を迎えるまで、老齢厚生年金(減額後の額)は今までと同じ395月の厚生年金加入期間で計算されたまま、ということになります。つまり、62歳の早織さんはあと1年待つ必要があります。