年金の支給開始年齢の65歳への引き上げにより、65歳前に特別支給の老齢厚生年金(特老厚)を受けられる人はだんだん少なくなっています。61歳~64歳でその特老厚が受けられる人がその開始年齢を待たず、年金の繰上げ受給をすることもあるでしょう。その後、繰上げをしてから厚生年金に加入したとすると、いつのタイミングでその掛けた保険料が受け取る年金額に反映されるのでしょうか。

仕事も見つかないし繰上げ受給を決意

25年前に夫と離婚して以来1人で暮らす早織さん(62歳)は、65歳まで会社に勤務する予定でした。早織さんの年金は、本来63歳から2年間は特別支給の老齢厚生年金、65歳から老齢基礎年金と老齢厚生年金を受け取れることになります。

しかし、58歳の時に会社が倒産してしまいました。職を失い、その後失業給付を受け終わってもフルタイムの仕事はなかなか見つからず、見つかったのは社会保険(厚生年金保険・健康保険)にも雇用保険にも入れない短時間勤務の仕事ばかりでした。これで少しは収入が得られるようにはなりましたが、倒産前の正社員だった頃と比べるとこころもとない収入額になっています。

収入が少なく貯蓄を取り崩す日々。そんな中で、年金の繰上げ受給をした場合の減額率が1カ月につき0.5%から0.4%になり、繰上げしやすくなったという話を聞きます。63歳まで待てなくなり、早織さんは「繰上げはなるべくしないほうがいいんだけど、仕方ないね……」と60歳6カ月の時に年金の繰上げ受給を始めました。

この場合、特老厚がなくなって、65歳からの老齢基礎年金と老齢厚生年金を繰上げする形となり、その減額受給をすることになります。そのうち老齢厚生年金については、繰上げ時点での厚生年金加入期間が合計395月となっていたことから、395月で計算された額について減額されて支給されるようになりました。