クーリングオフという方法にたどりつく美奈さん

その日の夜、時間が空いたことで美奈さんは冷静になり、事の異常性に気が付いた。翌日、習い事のハンドメイドの講習で知人らに相談すると、口をそろえて「それ詐欺だよ、絶対!」と美奈さんに事実を突きつける。

昨夜からうすうす気付いていたものの目をそらしていた事実を突きつけられ絶望する美奈さん。急ぎインターネットを使って対策について調べたと言う。

そこで見つけたのがクーリングオフだ。クーリングオフとは、訪問販売など一定の販売方法によって契約を結んでしまった場合、一定期間内であれば無条件で契約を解除できる制度だ。理由なんてものは不要。損害を相手方に発生させたとしてもそれについては償う必要もない。消費者側にとって“最強の切り札”とも言えるカードだ。クーリングオフをするとすでに払ったお金は全額返金され、以後の支払いも免除される。

今回美奈さんが結んだ契約は「点検商法」と俗に言われるが、クーリングオフにおける分類としては訪問販売に該当する。訪問販売は法定書面を受け取ってから8日間であればクーリングオフが認められる。

幸い美奈さんがこのことに気付いたのはまだ翌日。8日間の猶予には十分時間がある。クーリングオフの規定に基づいて契約をやめたいということが分かる形で書面を書いて相手に送付すればよい。一般的には、契約年月日、相手の名称、契約した商品等の名称、金額、自分の氏名および住所などが記載してあれば、はがき1枚で送っても成立する。

美奈さんはクーリングオフの書面についての作成方法をインターネットで確認し、見よう見まねで作成した。それを念のため書留の形式で堤の名刺に記載された住所へ送付した。

数日して堤から寄せられた返答は美奈さんが絶句する内容だった。

●クーリングオフを使って契約を解除することにした美奈さん。業者へクーリングオフを希望する旨を書いた書類を送りますが、数日後に帰ってきた思わぬ答えに思わず言葉を失ってしまいます。業者側の信じられない言い分は、後編【無料点検からの悪質契約、クーリングオフも拒否…トンデモ業者に絶望した女性を救った「強力な解決策」】で詳説します。

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