少し前からSNSなどを中心に悪質な点検商法の被害にあったという報告が多発している。そういった点検商法に対してクーリングオフで契約解消を図ろうとしても思うように話が進まないこともある。そこで有効となるのが内容証明郵便だ。

悪質な点検商法に対して内容証明郵便で対処する方法について、美奈さん(仮名・40代)の話で解説していこう。

美奈さんが点検商法の被害に遭ったワケ

「地域貢献を兼ねて無料で周囲のご住宅を診断させていただいています」。フリーランスとして自宅で働いている美奈さんのもとに、ある日の昼前に1人の作業着姿の男が訪ねてきた。男は名を堤(仮名)といい、地域で困っている人を助けたいという気持ちで最近開業したそうだ。

「6月は雨も多くて湿気で家が傷んでいるケースが増えています。床下を見させていただけませんか?」

堤が屈託のない笑顔で言う。美奈さんは誠実そうな笑顔と無料での点検という甘い言葉を受けて快諾。床下のチェックを依頼した。

堤は床に潜って少しすると「やはり予想通り湿気で家の柱の一部が傷んでいます。今すぐ修理が必要です」と言いながら出てきた。また、「家の内部からも傷みが進んでいます。換気設備の修理も必要です」とも補足した。

焦った美奈さんは調湿材をまくなどの名目で合計110万円ほどの契約を結んでしまった。そして、修理は即日行われ、完了された。すべてはこれで解決したと思われた。しかし、実はそうではなかった。