娘にとって母親は家族の中で一番近い存在でありながら、両者の間はこじれやすいと言われます。その理由として、母娘の情愛に立場の違い、嫉妬、世代間ギャップなどさまざまな感情が複雑に絡み合っていることが指摘されています。

内村香苗さん(仮名)も母親との不仲に悩んだ1人です。自身が家出をすることで強引に関係を断ちました。しかし、離婚して娘と暮らすようになり、再び、母親と過ごした時代のような居心地の悪さを覚えるようになったと言います。

母親の死を知らされたのは、そんな時でした。香苗さんが家を出てから既に25年の歳月が流れていました。母親は香苗さんに500万円の預金と手紙を残しました。「経済的に困っているわけではないし、それまでの自分だったら絶対受け取らなかったと思う」という500万円を、香苗さんは受け取る決心をします。香苗さんの心を動かした母親からのメッセージや、香苗さん自身の心変わりについて、ご本人に話してもらいました。

〈内村香苗さんプロフィール〉

東京都在住
47歳
女性
喫茶チェーン経営
離婚後、大学院生の娘と2人暮らし
金融資産6500万円

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この時期は、フラワーショップの店先で可憐なコスモスの花をよく見かけます。昭和の歌姫や人気ダンスヴォーカルグループの名曲でも歌われたこの花が好きな方は多いと思いますが、私にとってはトラウマです。

郷里を捨てた25年前の秋、コスモス畑の中を1人、泣きながら駅まで歩いた時の記憶が今も鮮明に残っているからです。