養育費の未払いは離婚の際に度々問題となる。もはや一部では「養育費の支払いはある程度滞ることを前提にして離婚をするべきだ」と言われるくらいだ。だが、完全ではないにせよ養育費の支払いについて、限りなく滞りのないように準備して離婚することはできる。その方法の1つとして、公正証書を利用することの有効性について、晴美さんの事例で解説していこう。

養育費でもめることは珍しくはない

子どもがいる場合の離婚あるあるの1つとっていいのだろう。養育費の支払いの有無で離婚前、あるいは離婚後に相手方ともめるということはよくあるようだ。

晴美さんも例にもれず離婚前に夫と養育費について大きくもめた。「養育費は少なくとも毎月3万円は欲しい」と伝える晴美さん。一方で当時夫であった正平さんはといえば、「月に2万円が限度だ」という。

母子家庭に支払われる平均的な養育費の額はおおよそ4万円から5万円程度。晴美さんの望む額は間違いなく平均よりも少ないと考えていい。だがそれすら渋る正平さん。それもそのはず、正平さんはいわゆる浪費家だった。

酒にたばこ、ギャンブルは当たり前。一度に多額の額を支出することこそないが、欲しいものがあればためらわずに購入。行きたい場所にはすぐに行ってしまう。要するにお金を計画的に使うことができない人なのだ。離婚の原因もそこで、結婚して5年たっても全く貯金ができず将来を不安に感じたことに起因する。

正平さんの手取り額は25万円を超えている。それを考えれば毎月3万円程度、払えないという額でもない。だが、それを拒むほどの浪費癖が正平さんにはあった。それこそ離婚の原因となるほどの浪費癖が。