姉の変心と相続争いの幕開け

そんなある日、みやこさんが実家にいると姉が急に帰ってきて、家の中を物色し始めたのです。書籍が高値で売れたのなら、「他にもお金に変わるものがあるかも?」との期待が、それまでの冷淡な態度を一変させたようです。

姉のみやびさんがひとりで押し入れの中を物色していると、奥深くにしまわれていた紙袋を発見。なんと、その中には驚くべきことに、現金1000万円が入っていました。

この発見で、姉の心に不信感が芽生えました。「もしかして、妹は親の遺産を独り占めしようとしているのでは?」と。これまで散々みやこさんが「一緒に片付けよう」と言っていたのに。それを無視してきたことを棚にあげて、妹に疑念をもったのです。

姉の言葉で苦渋の決断

急な出来事に驚いているみやこさんに、姉はいきなり「相続の話をしよう」と言い出しました。

「あなたは実家でぬくぬく育ってきた。だから、このまま実家に住めばいい。私はお金を全部もらうわ」

この言葉に深く傷ついたみやこさん。これまで姉に反論することはなかったけれど、ついに抑えていた感情を爆発させました。

「ぬくぬくなんてしていない! 母の介護も私ひとりでしてきたじゃない。なんにも手伝わなかったお姉さんの方が自由でうらやましかったわ」

と、これまで心の奥にしまっていた想いを姉にぶつけたのです。しかし、姉は素知らぬ顔で押し入れの中を物色し続けました。

この1件をきっかけに、相続争いが勃発。みやこさんは、両親が残した遺産を公平に分配するべきだと主張しましたが、姉は1歩も譲らず対立は深まるばかりです。こうなると、専門家の助けを借り、公平な解決を目指すことがふたりにとって最善の道です。

しばらくしてみやこさんから、「姉に、親のお金を全部渡した」と連絡がありました。話し合いの中で、姉が経営する会社の業績が悪く資金繰りに苦慮していたことがわかったからです。

残念ながら、姉妹の関係性に修復不可能なほどの傷を残して相続争いが終結しました。親の遺産をめぐる問題は、残された家族の未来をも左右するのです。

※プライバシー保護のため、内容を一部脚色しています。