娘と同じ「1年生」からのスタート

「いいじゃん。スーツもまあまあ似合うね」

楓に肩をたたかれる。涼は背筋を伸ばして息を吐いた。

あの日から1年がたつ。理学療法士を志すと決めてから、涼はバイトをしながら勉強を続けた。今日はその入学式だった。

「行ってくる」

「うん、いってらっしゃい。ほら、新奈も」

笑顔の楓の隣りで、新奈も真新しいランドセルを背負っている。娘と同じ1年生というのは気恥ずかしい気もあったが、悪くない始まりだった。

「パパ、いってらっしゃい」

「ありがとう。新奈もいってらっしゃい」

ここからまた自分の新たな野球人生が始まる。

いつも支えてくれる楓と新奈に感謝をしながら、涼は新しい挑戦に向けて足を踏み出した。

複数の事例から着想を得たフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。