<前編のあらすじ>
真美さんは52歳の独身女性です。大学卒業後から建設会社で仕事に打ち込んでおり、現在は現場をまとめるリーダーを任されています。仕事は好きですが、2年前に乳がんになったことや今も続くホルモン治療で体力低下が著しく、定年まで働くことが厳しいと感じています。
「家の近くで働けるところを探したいです。ただ、家の近くだと事務の仕事があったとしても年収は250万円程度ですね」。真美さんは転職を検討していますが、現在の年収は1100万円で、転職するとなると年収250万円程になる見込み。現在の年収の約5分の1と大幅ダウンです。
気持ち的には納得できるものの、生活が成り立つかは不安です。そこで、老後の生活設計を2つのステージに分けて考え、転職が可能かどうか検証することにしました。
●前編:【「仕事を続けるのはきついです」50代管理職女性が“年収1100万円”を捨て転職を望む「切実な理由」】
第1ステージは約3200万円の赤字に
分かりやすく考えるために、年金生活が始まる65歳から95歳までを第1ステージ、転職予定の55歳から64歳までを第2ステージに分けます。
まず安心して転職するには第1ステージの生活が成り立たないといけません。そこで第1ステージの収支を計算しました。第1ステージの主な収入は年金です。
50代になれば、ねんきん定期便に年金見込額が記載されていますが、記載された数字は今の収入が60歳まで続いたと仮定した金額です。転職するなら金額は下がるため、転職したと仮定した年金額を計算し、さらに支出額も算出しました。
その結果、第1ステージは約3200万円が不足する計算になりました。
<第1ステージ(65〜95歳の30年とする)の総収入と総支出額>
●収入:年金手取り総額 4680万円
●支出:日常生活費や自動車費用、予備費など総額 7900万円
(住宅ローン残高 1100万円含む)
収入―支出=4680万円-7900万円=▲3220万円