夫婦が青ざめた税務署からの書類

ちょうど妻の実家も築30年を超えてあちこちがガタつき、リフォームを検討していたタイミングでした。当初は300万円程度で抑えるつもりだったリフォーム費用に200万円を追加してトイレやバスルームに最新の機器を入れ、さらに100万円で冷蔵庫やテレビも新しい物へと買い換えました。

妻の両親も誘って、妻が行きたがっていた沖縄の新しいリゾートホテルにも出掛けました。他にも外食やお互いの服飾品を買うなどして、半年もしないうちに500万円もの大金をほぼ使い切りました。ぬれ手で粟(あわ)で手にしたお金ですから、貯蓄しておこうなどという気はこれっぽっちもなかったのです。

そんな私たちのもとに税務署から「確定申告のお知らせ」が届いたのは翌年1月のことでした。そこには、換金した金の利益について確定申告をするよう書いてありました。青天のへきれきでした。

妻が換金した買い取り商に問い合わせたところ、電話口に出た店員から「金の売却益は譲渡所得になりますので、特別控除50万円を超えた分は申告、納税が必要です」と伝えられ、顔面蒼白になりました。

金投資になど縁がなかった私たちは知りませんでしたが、金やプラチナの取引には支払い調書制度というものがあって、1回の取引が200万円を超えると、業者は税務署に調書を提出することになっているのだそうです。

つまり、私たちが500万円分換金したことは税務署に筒抜けだったわけです。これは大変だと思いました。そして、慌ててネットで調べた税理士事務所に駆け込んだ私たちを、さらなる衝撃が待ち受けていたのです。

●佐藤さん夫妻が駆け込みで相談した税理士から告げられた「衝撃の事実」とは? 後編【「お宝を換金しただけなのに」“棚ぼた”で手に入れた500万円を使い切った夫婦の「信じられない結末」】で詳説します。

※個人が特定されないよう事例を一部変更、再構成しています。