<前編のあらすじ>

私の実家は東北地方の農村にあります。7年前に父、2年半前に母が亡くなり、ひとり息子の私が引き継ぐことになりました。実家は築50年の昭和の建物で、新幹線の駅からのアクセスも悪く、取りえと言えば建坪が100坪と広いことくらいです。

近年は放置された空き家が社会問題化し、行政サイドからの対策も厳しくなってきているので、早めに更地にした上で売るか、それが難しければ相続土地国庫帰属制度を活用して国に引き取ってもらうことを考えていました。

そのためには物があふれた家の中をきれいにする必要があり、週末や祝日の連休を利用して月に1~2回は妻と一緒に帰省し、実家の片付けにいそしみました。

●前編:【「顔面蒼白になりました」実家で“お宝”を発見して大喜び…散財が止まらない夫婦が青ざめた「一通の書類」】

大金を得た佐藤さん夫妻の散財ぶり

1年半年ほどして母屋の片付けが一段落し、別棟の蔵に着手したところ、蔵の奥の方に積み重ねてあったつづらの1つから意外な“お宝”が見つかりました。年代物の金の延べ棒です。

表面は変色し、いつの時代のものかも分かりません。しかし、これは私たちが実家の片付けを頑張ったことに対するご先祖さまのご褒美に違いないと思いました。持ち帰って妻が買い取り商で換金したところ、金価格が上がっていたこともあって500万円近くになりました。

思いがけぬ収入に、私たちはすっかり浮き足立ちました。換金したお金で今住んでいる妻の実家のリフォームをグレードアップし、冷蔵庫やテレビを買い替え、妻が行きたかった沖縄のリゾートに妻の両親も誘って出掛け、さらに、お互いが欲しかった服や腕時計を購入するなどして、あっという間に500万円を使い果たしました。

「どうせ『棚からぼた餅』だし」と気楽に考えていたところ、その次の年の1月に、わが家に税務署から通知が届いたのです。金の売却で得た利益の確定申告を促す内容でした。

私たちにとっては青天のへきれきでした。