佐藤要さん(仮名)は東北地方の出身です。2年半ほど前に郷里で一人暮らしをしていた母親が亡くなり、ひとり息子の佐藤さんが実家を相続しました。実家に住むつもりはなかったので、“問題空き家”になる前に処分しようと早々に片付けに取り掛かりました。

片付けは想像以上に時間がかかってしまったそうですが、そうした中で佐藤さんは「開かずの蔵」に眠っていた“お宝”を発見します。それは年代物の金の延べ棒でした。

佐藤さんの奥さまが都内の買い取り商に持ち込むと、なんと500万円近くになりました。すっかり気が大きくなった佐藤さん夫妻は、想定外の臨時収入を自宅のリフォームや最新家電、沖縄旅行などであっという間に使い果たしてしまいます。

しかし、翌年の1月、佐藤さんの下に「確定申告のお知らせ」が届いたのです。「たまたま見つけたお宝にまで税金がかかるなんて」と憤懣(ふんまん)やる方ない佐藤さんに、その際の経緯を話してもらいました。

〈佐藤要さんプロフィール〉

東京都在住
49歳
男性
運輸会社管理部課長
パートの妻と妻の両親の4人家族
金融資産700万円(世帯)

コロナ禍の2021年末に郷里で一人暮らしをしていた母が亡くなり、実家は空き家になりました。私が生まれ育った家ですが、今や、築50年の広いだけが取りえのボロ家です。放置空き家が社会問題化していることもあり、母の死後は月に1~2回、妻と実家に通い、少しずつ片付けをしてきました。

都内の妻の実家で暮らす私たちは郷里に戻るつもりがなく、いずれは更地にして売るか、買い手がつかなかったら2023年から始まった相続土地国庫帰属制度で引き取ってもらうことも視野に入れていました。