仕方なく税理士事務所へ相談することに
慌てて換金した買い取り商に電話を入れると、「金の売却益は譲渡所得になりますので、特別控除50万円を超えた分は申告、納税が必要です」と説明されました。聞けば、買い取り価格が200万円を超える場合は、業者から税務署に支払い調書が提出されるのだそうです。
しかし、いきなりそんなことを言われても金投資などしたこともない私たちは戸惑うばかりです。仕方なく、ネットで探した税理士事務所に相談に行きました。そこでは若い税理士さんが丁寧に金の確定申告について教えてくれました。
いわく、金の売却益は「譲渡所得」となること、譲渡所得の課税方式には税額を他の種類の所得と合わせて計算する「総合課税」と他の所得とは切り離して計算する「分離課税」があり金は前者の総合課税となること、金の売却益は売却して手にした金額そのものでなく購入した額(取得価額)や売却の手数料などを差し引けること、5年以上保有していれば課税所得が2分の1になること……といった話です。
しかし、私たちが売却した金の延べ棒は偶然発見したものですから、購入時期や取得価額など見当もつきません。そもそも、先祖の誰が買ったものかも分からないのです。それを話すと、担当の税理士さんの表情が曇りました。
そして、「そうですか。佐藤さんのようなケースだと、売却した価格の5%を取得価額として計算することになってしまうんです。せめて購入時期が特定できれば、その時期の金価格を参考にした取得価額で申告することができるかもしれないんですけどね」と気の毒そうに言いました。