ついに警察の世話に
幸子が武敏たちにお金を無心するようになって半年がたった。
当然、愛実はこのままでいいとは思っていない。この手の人間は一度貸すと、心のブレーキが緩くなっていくとテレビで見たことがあった。実際にここ最近、幸子が借りようとしてくる額が増えてきている。
義父の介護から解放され、新たな生きがいが見つかったのなら、それを悪く言うことはできない。しかしこのままだと、ギャンブル中毒になるのではないかと危惧していた。
その日も夫婦での夕食を取っていた。優海は塾に行っている。
当然、話す内容は幸子のこと。お互いにこのままでいいと思ってないのだが、解決策が見いだせずにいた。
また前のように怒りをぶちまけられたら、ひとたまりもない。
そんなとき、夫の携帯が鳴る。
画面を見て、武敏はため息をついた。
「お義母(かあ)さん?」
「……ああ」
暗い顔で武敏は携帯を耳に当てた。しかしすぐに驚きで目が見開かれる。
何を言ってるのか分からないが、とにかく武敏は困惑と驚きの間の感情で何か話を聞いているようだった。
「何、お義母(かあ)さんじゃないの?」
「……警察から」
「えっ⁉」
「母さん、万引したんだって」
その瞬間、愛実は自分の口からどんな声が出たのか分からなかった。
●義母の身には何が起こっているのだろうか? 後編【義実家が汚部屋に…パチンコ依存症で孫にまで金を借りようとする義母を更生させた「思わぬ提案」】にて、詳細をお届けします。
※複数の事例から着想を得たフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。