妻からの想定外の指摘と提案
「お義母さん、ひょっとしてお金に困っていたりしないよね?」妻の夕季から想定外の指摘を受けたのは、そんな時でした。
さすがにそれはないだろうと思いました。父は地元の工場の総務部で定年まで勤め上げ、生前は夫婦で月額20万円以上の年金を受給していました。自宅は持ち家で家賃もかかりませんから、「高齢者二人なら十分暮らしていける」と聞かされていました。
しかし、帰国後ファイナンシャルプランナー(FP)の資格取得を目指して学校に通い出した妻は、「やっぱり気になる。講師のFPの砂沢さんが『ご主人に先立たれた奥さんが経済的に困窮するケースが増えているから気を付けて』という話をしていたし」と納得できないようです。
挙げ句の果てには、「貴志には言いづらいかもしれないから、砂沢さんにヒアリングをしてもらったらいいんじゃない?」と言い出しました。「私たちがお金の相談をして、その一環としてお義母さんにも話を聞く必要が出てきたって頼んでみればいいんだよ」
なるほど、それはいい考えかもしれないと思いました。人見知りしない性格の妻は砂沢さんと世間話をする仲だったらしく、妻がお願いすると砂沢さんは二つ返事で母へのヒアリングを引き受けてくれました。
そして、その翌週には忙しいスケジュールの合間を縫って武蔵野市内の私の実家まで足を運んでくれたのです。その結果、驚きの事実が明らかになりました。
●FPの砂沢さんが母のヒアリングを終えた日の夜、国本さんのもとにメールではなく1本の電話が……。息子である国本さんには話せなかった母の“本当の現状”とは? 後編【「食費を抑え、エアコンもつけない」高齢女性が“年金制度の落とし穴”にハマり直面した苦境】で詳説します。
※個人が特定されないよう事例を一部変更、再構成しています。