夫が賛成してくれなくても子供を産もう
妊娠を告げて以来、瑞穂と雅彦の夫婦生活は一変した。
必要以上の会話を避けるようになり、お互いの部屋にこもる時間が増えた。夕食はこれまで通り一緒に食べていたが、食卓には重苦しい空気が漂っていた。子供を産むのか産まないのかしっかり話し合わなければいけないのに、2人ともそれを避けていた。
瑞穂は、たとえ夫が賛成してくれなくても子供を産もうと思っていた。
夫婦生活は終わりになるだろうが、フリーライターとしてそこそこ収入もあるし、夫がいなくても生活が破綻してしまうことはないだろう。事実婚なので、名字を元に戻したりする手間もない。
時間をおけば夫の考えが変わるのではないかと期待したが、今のところその兆候はない。沈黙の時間が夫婦のあいだに積み重なるばかりだった。
●子どもを持つことに否定的な雅彦の考えは変わるのだろうか。そして瑞穂の決断は……? 後編【子ども嫌いは「思い込み」だった? 事実婚夫に気づかせた「予想外の出来事」】にて、詳細をお届けします。
※複数の事例から着想を得たフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。