「なんで今?」突然のがん発覚が招いた仕事の危機
仕事として成り立つかどうかの算段もないまま、無謀にも行政書士事務所を開業した敦子さん。それでも、関わる人たちに熱い思いが伝わったのか、少しずつ仕事が増えていきました。
しかし、独立開業から5年たち、ある衝撃的な出来事が起こります。やっと仕事が面白くなってきた途端に、「乳がん」が発覚したのです。
乳がんは、唯一自分で見つけられる「がん」だと言われています。敦子さんも、寝返りを打ったときに右胸に違和感を覚え、恐る恐る受診した病院で悪性のしこりが見つかりました。
「なんでよりによって、今なん……?」
突然のがん宣告。不安で押しつぶされそうな気持ちを誰にも話せず、ひとり暮らしの家でひとしきり泣いたそうです。
筆者も12年前に、がん告知を受けました。泣きこそしませんでしたが、「人生終わったな……」と思いました。突然のがん告知は、心も頭も思考停止してしまいます。これからの人生が全く想像できず、マンホールのふたのような分厚い重りが、心にのしかかったように感じられるのです。
医師から言われた思いがけない言葉
がんになったら働けない。そう思いがちですが、現在のがん治療は入院日数が短縮されて通院治療にシフトしていることから、今まで通りは難しくとも、工夫をしながらであれば働き続けられるようになってきました。
そのような背景もあって、医師から「仕事は辞めないでね」と言われた敦子さん。
一度は諦めかけた「仕事と暮らしを守りたい」という思いが、むくむくと湧きあがってきました。敦子さんは、治療を受けながら仕事を続ける道を探ることを決意します。
●病気が発覚しても、仕事と暮らしを諦めたくない。その時考えられる課題と解決方法とは? 後編【“病気治療と仕事の両立”を決意した40代おひとりさま女性…目標実現を支えた2つの対策】で詳説します。