義母との対峙、そして400万円の借金告白
本来、自宅療養であれば、夫は美代さんに引き取られることになるのでしょう。しかし美代さんはこれを拒否。義父母(夫の実父母)に引き取ってもらうよう話をしました。
「私はもう夫の面倒を見ることはできません。ご実家で引き取ってください」
すると義母は目を吊り上げ、怒りの感情を露わにしました。
「あなた、何言ってるの? 夫が大変な目にあったんだから、最後まで面倒を見るのが妻としての務めでしょう。いい加減なこと言わないで」
「私は本気です。実はこれから離婚することも考えています。もちろん、夫がこのような状態になってしまったので、長男は私が引き取ります」
義母は金切り声を上げました。
「離婚って! あなたいい加減にしなさい。自分が何を言ってるのかわかってるの? この裏切り者!」
「裏切り者? それならお互い様でしょう。私は今まで夫に何度も裏切られてきました。夫はギャンブルで家族の大切なお金に何度も手を出していました。挙句の果てには、私の両親に400万円もの借金を肩代わりしてもらっていたんですよ」
「え?」
義母は借金のことは全く知らなかったので、驚きのあまり口を半開きにしてしまいました。
美代さんは続けました。
「私はそれでも夫の入院や転院の手配、入院中のお世話、夫の会社へ状況報告をしたり傷病手当金の申請をしたりしてきました。でも、そろそろ限界です。愛情はもうありません。離婚しても夫から財産分与や教育費を求めることはしませんから、どうぞ息子さんをご実家で引き取ってください」
美代さんは、嫌とは言わせないぞ、と言わんばかりの強い視線を義母に向けました。
●障害年金の手続きを終えたら離婚できる――そんな約束を義母と交わした美代さんですが、果たして無事に新しい人生を歩み始めることができるのでしょうか。後編【すべては義母との約束を果たすため…夫の障害年金を申請した43歳妻「もう思い残すことはありません」】で結末をお届けします。
※プライバシー保護のため、事例内容に一部変更を加えています。
