元夫との年金分割が再婚相手の年金に影響

このみなし被保険者期間が再婚相手である英隆さんの加給年金にも影響します。加給年金については年上の英隆さんの老齢厚生年金に加算され、原則として配偶者である順子さんが65歳になるまで加算されるルールです。しかし、63歳で受けられるようになる順子さんの特老厚が厚生年金被保険者期間20年以上で計算されると、英隆さんの加給年金は支給停止になります。特老厚が20年分あるかどうかで支給停止の有無が決まりますが、当該被保険者期間には年金分割によるみなし被保険者期間も含まれることになっています。

確かに順子さんはパート勤務中心だったため、自身の厚生年金加入期間は幸太郎さんとの結婚前の6年、離婚から再婚までの3年の合計9年、これだけだと20年未満となります。しかし、幸太郎さんとの婚姻期間中の年金分割を受けたみなし被保険者期間25年も含めると、合計34年になり、20年以上になります。そのため、英隆さんの加給年金は支給停止になってしまい、2年間で全く加算されないことになります。

順子さん自身の振替加算も対象外に

また、順子さんは65歳以降老齢基礎年金と老齢厚生年金を受給できるようになりますが、本来、厚生年金被保険者期間が20年未満であれば老齢基礎年金に加算される振替加算についても、みなし被保険者期間も含めて20年以上あることによって加算されなくなります。振替加算は年額1万6033円とはいえ加算がありません。

したがって、年金分割により、順子さんは特老厚と老齢厚生年金が増えますが、再婚によって再婚相手の加給年金や自身の振替加算といった加算部分に影響が出ることになります。

離婚して再婚する場合、再婚後の年金がどうなるか気になるところですが、年金分割で自分の厚生年金は増えても、加算部分への影響が出る場合もあります。その点を事前に確認しておくと良いでしょう。

※プライバシー保護のため、事例内容に一部変更を加えています。