早めの加入記録の確認が大切
こうして佳世さんは65歳になってから62歳以降の年金を受け取ることになりました。年金制度に加入している人などには毎年誕生月に「ねんきん定期便」が送られます。この定期便で記録の漏れや誤りがないかどうかを確認し、漏れや誤りがある場合は日本年金機構に記録の調査を依頼できることになっています。もし、佳世さんも40代、50代など早めに13カ月の厚生年金の記録を確認していれば、早い時期にその厚生年金の記録が判明し、佳世さんの加入記録として追加されていました。13カ月の厚生年金加入記録が入った状態で、そのまま62歳の3カ月前になると、特老厚の請求についてのお知らせが届き、62歳からすぐに特老厚を受給する流れにもなっていたことでしょう。
しかし、その記録の確認をずっとしていなかったため、佳世さんは65歳から老齢基礎年金のみ受給できる記録のままで65歳を迎えることになり、65歳を迎える3カ月前になってようやく年金請求のお知らせが届いたことになります。62歳の3カ月前にお知らせが届かず、佳世さんが自身の年金は65歳開始と思っていたため、62歳から受給できることに気が付かずに過ごしていました。そして、65歳になって年金事務所の窓口で初めて記録が明らかになったため、そこから62歳まで過去3年にさかのぼった結果となりました。
今回の佳世さんの場合は、過去の分の年金を無事に受け取れたことになりますが、中には自身の加入記録が全て入っていなかったことから本来受け取れるはずの年金について「もらい忘れ」となるケースもあります。「ねんきん定期便」を見て、もし現在の加入記録に漏れや誤りがあると思った場合は早めに記録の確認をしておくのがよいでしょう。
※プライバシー保護のため、事例内容に一部変更を加えています。