<前編のあらすじ>
65歳の佳世さん(仮名)は、大学卒業後に1年ちょっとだけ会社に勤めた後、結婚を機に退職し、73歳の夫・耕一郎さん(仮名)の扶養に入って専業主婦として過ごしてきました。年金は65歳からと思い込んでいた佳世さんでしたが、3年前に友人から「会社に勤めていたなら62歳から受け取れる」と聞かされます。
しかし62歳になってもお知らせは来ず、「私は会社に勤めいてたのは短かったし、小さい会社だったし、厚生年金なんて入ってなかったのかも」と自分を納得させていました。65歳を迎えて年金事務所を訪れた佳世さんは、職員から「年金は62歳から受け取れますよ」と告げられます。
●前編:【「え? そうなんですか?」年金3年分の“もらい忘れ”が発覚…65歳専業主婦がハマったまさかの落とし穴】
62歳にさかのぼって受給ができる
年金事務所の職員によると、佳世さんには13カ月の厚生年金の加入記録が見つかりました。大学卒業後に勤めた会社についての記録です。この若い頃の記録が見つかったことによって、62歳時点で厚生年金の加入期間は1年以上となり、62歳から65歳になるまで特別支給の老齢厚生年金(特老厚)が受給できるようになります。そして、65歳からは老齢基礎年金だけでなく、13カ月の厚生年金加入期間で計算された老齢厚生年金も受給することができます。
佳世さんは特老厚について「けど今はもう65歳。62歳から3年も経ってるけど……」と思います。しかし、この特老厚は62歳にさかのぼって受給できることになります。13カ月の加入記録の特老厚として年間1万5000円程度。これを3年分で4万5000円程度を受け取ることができます。
65歳以降については、老齢基礎年金(振替加算込み)として年間75万円以上受給でき、老齢厚生年金として年間1万5000円受給できるとのことでした。もし、13カ月分の厚生年金加入記録がない場合は、老齢厚生年金が受給できないだけでなく、老齢基礎年金も年間2万円以上少ない額となります。
当初想定していた額より年金が多くなった佳世さん。「62歳にさかのぼれるのはよかったな。けど、本当は3年前から年金は受け取れることになっていたのかぁ……」と年金の仕組みを理解するようになります。