母親の思いは受け継がれるかもしれない

美智子さんのように、親の希望に導かれて歩む人生を選んだ人は少なくありません。美智子さんが母親にしてもらってきたことは、そのまま美智子さんが子どもに行う可能性もあります。ここで、高校のときは特に医師になりたいとは思っていなくても、後年立派な医師になった人の話をしましょう。

ある男性医師は、高校卒業時に医学部以外に入学しましたが、医師の父親から「医学部に入り、医師になれ。そのうえで向かないと思うなら医師を辞めてもいい。その時は自分の好きなようにしていいし、医師以外の仕事をすることも認める。でも今は医師を目指してほしい」強く説得されて翌年医学部に入り直しました。

医師になることも選択肢になかった時もありましたが、今では親がすすめてくれたことに感謝しているそう。そして自分の子どもにも医師となってほしいと考えています。もし子どもが将来に迷うことがあれば、多少強引でも医師への道をすすめるとおっしゃっていました。

今回紹介した美智子さんも、専業主婦としての人生もあったのかもしれません。でも母親のすすめで医師として働く人生を歩んでいます。その裏には母親の思いがありますが、それは美智子さんにとって間違った選択ではなかったのです。美智子さんも母のように子どもの素質を見抜き、道を示していくかもしれません。きっと、自分がかつて感じた葛藤も、そっと寄り添う力になるはずです。

※プライバシー保護のため、内容を一部脚色しています。