<前編のあらすじ>
35歳の水野達也さん(仮名)は、子どもの誕生を機にマイホーム購入を検討し始めました。初めはマンションにするつもりでしたが、訪れた不動産屋で郊外の庭付き一軒家の物件を紹介され内覧すると「やっぱり一軒家だよね」と妻と意気投合。ローンを多めに組んで念願のマイホームを購入しました。
ところが、その後の人生は想像を絶する試練の連続となります。コロナ禍で収入が激減し、転職先はブラック企業。職場のストレスから妻との関係が悪化し、ついには離婚に至ってしまいます。さらに失業という不運が重なり、養育費とローンの負担に苦しみます。
●前編:「やっぱり一軒家だよね」で始まったローン地獄…転職失敗・離婚・失業の三重苦、35歳男性が経験した絶望の底】
役所の法律相談で出会った弁護士
離婚した後に失業し、住宅ローンを滞納するようになった私は、再就職の当てもない中で頻繁にかかってくる取り立ての電話に追い詰められ、まさに身も心もぼろぼろになりました。
そして、「このままでは大変なことになる」と駆け込んだ役所の法律相談で、弁護士の加藤さんに出会ったのです。加藤さんは実年齢では私と5歳も変わらないはずですが、失礼ながら「頼りになるお母さん」という言葉がぴったりくるような、落ち着いた、優しい雰囲気をまとった女性でした。
今思えば、あの時はもう必死で、頭も働かず、脈絡のない話を延々としていたような気がします。しかし、加藤さんは私の訴えに耳を傾け、私が持参した金融機関の催告書などの書類を丁寧に確認した後、「ひとりで抱え込んで、えらいことでしたね。水野さんにとって一番いい解決方法を一緒に考えていきましょう」という温かい言葉をかけてくれたのです。その言葉を聞いた途端、張り詰めていた気持ちが一気に緩み、思わず涙がこぼれそうになりました。