数字ではわからない中小企業の“リアル”
今回、佐々木さんが直面したのは、財務諸表には反映されない「中小企業のリアル」でした。
大企業とは違い仕事が属人化しているケースも多く、1人の社員が退職するだけで会社全体が回らなくなることも少なくはありません。
こうした事態を避けるためには、M&Aを決める前に実際に会社に役員として一定期間入り、管理の体制や現場の状態を知ってから判断することが大事です。また、先代社長を一定期間役員や顧問として残し、引き継ぎを行うことが取引先との信頼継続や社員の離職防止にもつながります。
高級車に乗り、夜の街で羽振り良さそうに見える中小企業の社長も、実際には資金繰りに頭を悩ませ、従業員との人間関係や取引先との信頼構築に苦心していることも多いものです。
多くの中小企業で人手不足の問題を抱えており、業績が悪いわけではないのに廃業を検討する企業が多いのも事実です。なかには100万円、200万円といったごく少額で買うことができる会社もあり、十分な収入を得ながら定年が無い仕事で収入を得ることもできます。
地域に根差した老舗企業で、その会社の魅力をブラッシュアップしたり、内部体制を整備することで成長させることができる面白味もありますが、同時に今回ご紹介した様なリスクも内在していることがあります。
※プライバシー保護のため、内容を一部脚色しています。