重すぎる家庭の代償
家庭でも大きな変化がありました。
佐々木さんは地域の経営者団体に積極的に参加することで経営者としての人脈を広げようと考え、またなんとか今の現場仕事を回せるように外注先を探すために業界団体の会合にも足しげく通い、夜も不在がちに。その代償として家庭では孤立が進みました。元々都市部で育った妻は、地方での暮らしに馴染めず、夫婦間のすれ違いは日に日に大きくなり、口論が絶えなくなってしまいました。
「こんなはずじゃなかった……。社長になんか、ならなければよかった」
こう思いながらも、責任感が人一番強い佐々木さんは、なんとか挽回しようと奮闘します。しかし、すでに会社は運転資金が枯渇しそうな状況で、老後のために蓄えていた預貯金や個人年金保険も解約し運転資金として差し入れ、資金繰りに奔走する毎日……。
目の前のお金の不安だけでなく、老後の不安にも日々悩まされていきました。