最愛の兄の突然の死。その悲しみの中で、そらさん(仮名)は自身の老後についても深く考えるようになりました。前編では、終活を決意するまでのそらさんの心情を追いました。後編となる本稿では、彼女が具体的にどのような行動を起こしたのかを見ていきましょう。

<そらさんプロフィール>

女性
60代
中国地方在住
パート・アルバイト

●前編:「父親のような存在」だった兄がまさか…実家の片付け中に訪れた悲報、始まった60代女性の終活物語【読者体験談】

整理作業から見えてきた本質

実家の管理を一緒に行うはずだった兄がまさかの急逝。そらさんは喪失感と同時に、老後への危機感を募らせ、自身も終活を行うことを決意します。

「私には、まだやるべきことがあります。義母を見送り、夫の実家の片付けも進めなければなりません。それに、自分自身の終活もあります。兄の死をきっかけに、自分の荷物も整理しなければと思い至りました」

何はともあれ、まずは実家の片付けからと意を決して作業に取り掛かったそらさん。使わなくなった家具や古びた衣類、手つかずだった本など、大きなゴミ袋を手に整理を始めました。

「捨てるのは忍びなかったですが、すべて残していても仕方がありません。兄が元気なうちに2人で整理しておけばよかったと後悔しながら、一つ一つ手に取っては処分するものと残すものを選んでいきました」

思い出の品々との別れは、時に懐かしさや後悔の念を引き起こすこともあるでしょう。そうした感情と向き合うこともまた、残された人が気持ちを整理する上で重要な作業なのかもしれません。