公正証書の強力な効果とは?

公正証書は公証人と呼ばれる公務員が権限に基づいて作成する文書だ。それゆえ公正証書には非常な強力な効果を持つ。

その1つに裁判手続きによらずに即時に差し押さえが可能というものがある。いわゆる執行力だ。

一般的に差し押さえと言えば、裁判で勝訴判決が出た後に行われる。そのため差し押さえをしたいと考えてもすぐには実行できないどころか、裁判にかかる費用も生じる。弁護士を雇うとなれば訴訟費用だけで数十万かかり、泣き寝入りとなってしまうこともある。

その点、公正証書であればお金も時間も節約してすぐに差し押さえという目的を達成できる。実際、公正証書はこの執行力を目的として作成されることも珍しくない。

米原さんが公正証書を作成した「真の狙い」

しかし、実のところ米原さんの狙いはこの差し押さえのためではなかった。公正証書作成によって知ることのできる相手の住所が目的だったのだ。

公正証書は先に述べた通りそれだけをもって即時に差し押さえができるほど強力な文書だ。公務員が作成することも重なってその作成には非常に厳格な手続きが取られる。

それゆえ、手続きの際は運転免許証などの身分証が当事者分必要になる。そしてその身分証に記載された住所が公正証書にも記載される。そのため、相手の正式な住所が分かるのだ。相手が勝手に引っ越しをしたり、偽りの身分証を使っているというような場合でない限り相手へ文書などを別途送ったり相手の自宅へ訪問できる。

米原さんの目的はこの相手の正確な住所を知るというところにあったのだ。

●案の定、遠藤さんは1年もしないうちに支払いを滞り出しました。その後、米原さんが全額返済を実現するために起こした行動とは何だったのでしょうか? 後編【借金を返済しない友人に悩まされる50代女性。泣き寝入りを防ぎ“全額返済”をかなえた「1通の書類」】で詳説します。

※プライバシー保護のため、内容を一部脚色しています。
※人物名はすべて仮名です。