<前編のあらすじ>
雨の降る日の喫茶店で、遠藤さん(40代・男性)は「俺はもう事業を撤退する。けど、撤退するにも先立つものがなければどうにもならないんだ……」と切り出した。
遠藤さんは感染症の影響で飲食店の経営が悪化し、生活に困窮していたため、古くからの友人である米原さん(50代・女性)に助けを求めたのだった。
米原さんは「あなたの頼みなら」と善意からお金を貸すことにしたが、公正証書の作成を条件にした。実は、米原さんの真の狙いは差し押さえではなく遠藤さんの正確な住所を知ることにあった。
●前編:【困窮する友人を助けたい、でも滞納も不安…50代女性がお金を貸す前に準備した「意外な対策」】
1年もたたず返済が滞り始めた遠藤さん
案の定、遠藤さんは1年もしないうちに支払いを滞り出した。通常であればここで差し押さえになるだろう。だが、差し押さえとなると問題も多い。
確かに差し押さえをしてしまえば即お金を回収できるだろう。だが、友人などある程度関係のある人に差し押さえまでしたとなれば、お金を返してもらう側の印象も非常に悪くなる。相手との関係悪化はもちろん、周囲から「そこまでしなくても……」と非難されることにもなりかねない。
意外に思われるかもしれないが、こうした事情から世間体を意識し、非難を避けるために訴訟手続きや差し押さえを避ける例は多い。そのため公正証書を作成したとしても差し押さえまではせず最終的には泣き寝入りというパターンも珍しくはないのだ。