友美恵さんの悲惨な現状

友美恵さんは巧さんの相続した遺産を目的に離婚をもくろんでいた。

「財産分与によって貯金を半分受け取れる」

テレビでの話をうのみにし、離婚するだけで2000万円もの大金が手に入ると思い込んでいたのだ。

しかし、先述の理由から友美恵さんは財産分与により財産をほとんど得られなかった。結果的に相続以外で築いてきた貯金について数百万円程度財産分与を受けたにとどまった。

思っていたものと違い「離婚をなかったことにしてほしい」と巧さんに復縁を持ちかける。しかし巧さんは過去の同僚を頼って転職して転居していた。新天地で充実した生活をスタートしており、友美恵さんと復縁する気は一切なかった。

巧さんから聞くところによれば、友美恵さんはパートをしながら、1人、地元のアパートでほそぼそと暮らしているようだ。当初は実家に戻る予定だったが義父母からはあきれられ実家に戻ることを拒否されてしまったことで始まった一人暮らしのようだ。

ただ、これも巧さんが義父母を通じて聞いた話であり、どこまで正確であるかは定かではない。とはいえ、友美恵さんが財産分与で巧さんが相続で得た4000万円もの財産の半分を得られると思い込んで離婚をし、痛い目をみたことは間違いない。

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財産分与は相続で得た財産や結婚前から有していた財産など夫婦関係とは別で得られただろう財産は対象とならない。それゆえ、配偶者には数千万円の財産があっても、財産分与によって受け取れる財産は数百万円なんてことも決して珍しい話ではない。

友美恵さんのような女性は、法律上保障された権利について取り沙汰されるようになってから増えていることが想定される。

しかし財産分与は必ずしも貯金半分がもらえるような制度ではない。決してこの制度をアテに離婚をしてはいけない。財産分与を過信しての離婚は自身を不幸に陥れかねないのだから。

※プライバシー保護のため、内容を一部脚色しています。
※人物の名前はすべて仮名です。