遺言書は手書きで誰でも簡単に作成できる。そう思ってはいないだろうか。確かにその通りではある。だが、手軽に作成できる反面、無効となったり、相続争いを引き起こす原因となったりすることもある。そこで、今回は、自筆証書遺言によって相続トラブルが起こった沢村さん兄弟(仮名)の例を紹介しよう。

不平等な相続内容に弟が激怒

「こんな遺言書に書いてあることが有効なわけないだろう!」

リビングに大声が響く。声の主は弟の隼人さん(仮名)だ。それに対して「感情的になるな、遺言書にあるのは紛れもなくおやじの意思だ」と冷静に返すのは兄である有史さん(仮名)だ。

父親である哲夫さん(仮名)の残した遺言書の内容を意訳すると「1500万円の相続財産は有史に8割、残りの2割を隼人に相続させる。有史に万一のことがあれば全額を隼人に相続させる」といった内容だ。そして、今その内容の遺言書の有効性についてある兄弟が対立している。