行政書士へ相談

私の方でも墓じまいの費用について、以前お世話になった行政書士の方に相談もしました。

その時に言われたのは、離檀料の相場はなく寺によっては墓の撤去費用といった実費だけで対応しているところもある、人によっては寺に相談してディスカウントしてもらったケースもなくはない、ただ、伝え方によっては檀家寺の方がへそを曲げて改葬の手続きが進まなくなってしまうリスクも伴うといったことでした。

その行政書士の方が実際に聞いた話では、ある人が檀家寺と話がこじれて勝手に遺骨を取り出そうとしたところ、寺から警察に通報され、大騒ぎになったことがあったそうです。

以前相談に来た人の中には「あまりに理不尽だから裁判で争う。弁護士を紹介してほしい」と息巻いていた方もいたようですが、「裁判にかける費用や労力は大変なものです。止めておいた方がいいと思いますよ」と必死で引き止めたとか。

「特にあなたのお父さんは地元の名士だった方でしょう? 狭い田舎で影響力のあるお寺さんと揉めるなんてことがあると、あっという間に噂になりますよ」

そう言われてしまうと、何も言い返せなくなります。それは母も同じだったようです。このやり取りを伝えた後、母は腹を決めたらしく、「これであのお寺さんとは縁が切れるのだから、“手切れ金”だと思ってお支払いするしかないわね」と無理に笑顔を作ってみせたのです。

お布施で金融資産の2割を失った母親

檀家寺からは銀行振り込みで構わないと言われましたが、「これが最後なので」と翌週、母と2人で檀家寺を訪れました。父の葬儀の時よりもさらに分厚いお布施袋に300万円を包み、袱紗(ふくさ)代わりに有名和菓子店の高級ようかんセットを持参しました。

運よく当日閉眼供養もしていただけたので、父の遺骨を手に帰京し、3日間には納骨堂に納めることができました。

葬儀の100万円と墓じまいの300万円。四十九日に初盆、一周忌の各10万円もありますから、わずか1年ほどの間に檀家寺に納めた額は430万円にも上っています。母が相続した父の金融資産のおよそ2割に当たります。正直、こんな理不尽なお金を払うくらいなら、相続税を徴収される方がずっとマシです。

母は「私がいなくなった後、お前たちに嫌な思いをさせるよりはいい」と言いますが、私や妹はいまだ納得していません。

※個人が特定されないよう事例を一部変更、再構成しています。