斉藤誠さん(仮名)は数年前まで“サラリーマン大家さん”でした。といっても、不動産投資に興味があったわけではなく、亡くなった両親が経営していたアパートをそのまま引き継いだ格好です。アパートは築古物件ですが安全面で特に問題は見当たらず、斉藤さんご夫婦は建て替えが必要になるまでは大家業を続けるつもりだったと言います。
商売っ気のない斉藤さんが周辺の物件より安い家賃で貸し出していたこともあり、人の入れ替わりはあるものの、アパートは常に満室に近い状態だったそうです。そんな時、区役所の紹介で入居したのが単身生活保護受給者だった竹中さんでした。
竹中さんは自称元教師で、第一印象は「声が大きく、明るくパワフルな人」。しかし、入居から半年経った頃から家賃を滞納するようになり、管理業務を委託している不動産会社が督促の連絡をすると、ある夜、とんでもない行動に出たのです。
徐々に本性を現し始めた竹中さんの“被害”が隣室の大学生に及ぶに至り、斉藤さんは竹中さんに退去してもらうことを決意したのですが、事はそう簡単に運ばす……。とんでもないモンスター借主に振り回された斉藤さんに、悪夢の体験を聞かせてもらいました。
〈斉藤誠さんプロフィール〉
東京都在住
56歳
男性
信用金庫勤務
パートの妻と2人家族
金融資産6500万円
亡くなった両親から引き継いだアパートは、築40年を超えた古い物件でした。2階建てで、階ごとに1DKバストイレ付きの部屋が3室ありました。周辺の物件に比べ家賃を安く設定したせいか学生や若いサラリーマンなどの借主が入り、それなりに稼働率は安定していたように思います。
固定資産税などの経費を差し引いても小遣い程度の額は残ったので、妻とは「建て替えが必要になるまでは当面、大家業を継続してもいいかもね」と話していました。