見過ごせずケースワーカーへ抗議

これを見過ごすことはできないと、翌日すぐに石井さんに抗議の電話を入れました。石井さんは100近い生活保護世帯を担当していて毎日忙しく動き回っているのですが、その日の夜にはわが家に駆けつけてくれました。

「今後同じことがあったら、警察呼びますよ」と怒り心頭の妻に、石井さんは「奥さん、本当に申し訳なかった」と頭を下げました。そして、「竹中さんには身の回りのことにルーズだったり酒癖が悪かったりする一面がある。それでも今は新しい仕事を見つけようと頑張っているので、今回だけは許してあげてほしい」と懇願したのです。

石井さんにそこまで言われたら、私たちも許さないわけにはいきません。「これから竹中さんと話をしてきますから」という石井さんを、「よろしくお願いします」と送り出すしかありませんでした。

一件落着とはいかなかった

石井さんの忠告はそれなりに効果があったのだと思います。その週のうちに竹中さんはたまっていた家賃を振り込んでくれました。

石井さんからも、「あの時は相当酔っぱらっていたみたいで、本人も『全然覚えていないけれど、斉藤さんの奥さんにそんなご迷惑をおかけしていたとしたら大変申し訳ない。合わせる顔がない』と猛省していましたよ」という報告の電話があり、ほっと胸をなでおろしました。

しかし、「これにて一件落着」とはなりませんでした。竹中さんがモンスターぶりを発揮したのは、むしろその後だったのです。

●竹中さんが次に起こしたトンデモ行動とは? 後編【「得体の知れない液体が…」モンスター借主の退去後、部屋を見た大家が絶句した理由】で詳説します。

※個人が特定されないよう事例を一部変更、再構成しています。