ケースワーカーからの紹介で出会った竹中さん
コロナ禍には、区役所に勤務する知人に頼まれて単身の生活保護受給者を受け入れました。いずれも職を失いやむにやまれず申請したという元会社員の方で、とても人ごととは思えませんでした。
若い男性には作り過ぎた総菜をお裾分けしたりすると大変喜ばれ、再就職が決まって退去する際はわざわざわが家まであいさつに来てくれたりしました。
ですからケースワーカーの石井さんが竹中さんを連れてきた時も、「困ったことがあったら遠慮なく言ってくださいね」と声をかけたくらいです。竹中さんは数年前まで教師をしていたということで声も大きく、第一印象は「明るくパワフルな人」でした。
「勤務がハードで精神的にまいってしまい退職しましたが、回復してきたので、これからは塾の講師の口を探そうと思っています」と自分から話してくれました。
良好な関係だったが、徐々に行動に異変が……
最初は道で会っても声を掛け合うくらい良好な間柄でした。しかし、半年ほどすると竹中さんが家賃を滞納するようになりました。
アパートの管理業務は全て地元の不動産会社に任せていたので、不動産会社が竹中さんに督促の連絡をしたようでした。すると、ある夜、竹中さんがいきなり私の自宅に押しかけてきたのです。
運悪く、私は勤務先の飲み会で不在でした。竹中さんはかなり酒を飲んでいたようで、対応した妻に「払えねぇものは払えねぇんだよ。上から目線で偉そうにしやがって」とねちねち絡んできたそうです。竹中さんは身長が180cm近くあるがっしりした体格の偉丈夫ですから、妻は心底怖かったとおびえていました。